モバイルバッテリーは何を選べば安全かを解説する記事のアイキャッチモバイルバッテリーを選ぶとき、これまでは「10000mAh」「最大○W」といった容量や充電速度を中心に見ていました。

ところが最近は「準固体」「半固体」「温度監視」など、安全性を前面に出した製品が増えています。

背景にあるのがモバイルバッテリーによる発火事故です。調べてみると私が思っていた以上に事故は増えていました。

安全なモバイルバッテリーは「準固体だから大丈夫」といった一つの言葉だけでは判断できません。

電池そのものだけでなく、温度や電圧の監視、保護回路、製造時の品質管理など、いくつかの要素をまとめて見る必要があります。

今回は「準固体・半固体」と、UGREENの「DymondCell」、Ankerの「ActiveShield」は何が違うのか。

実際にDymondCellを採用したモバイルバッテリーを使っている立場から、できるだけ分かりやすく整理してみます。

モバイルバッテリーの事故は実際どれくらいある?

消防庁の集計によると2025年にモバイルバッテリーから出火した火災は482件。

2022年の122件から、2023年182件、2024年290件、2025年482件と増えています。2025年は前年比約7割増で、消防庁が集計した製品別の出火件数でもモバイルバッテリーが最多でした。

では、実際にどんな事故が起きているのでしょうか。

NITE(製品評価技術基盤機構)では、高温になった車内に置かれていたモバイルバッテリーが発火した事故や、かばんに入れて自転車で走行中に発火した事故などが報告されています。

もちろん、普通に使っていれば必ず危険という話ではありません。

ただ、毎日のように持ち歩き、ときには落としたり、夏の車内に置いたりする可能性もある製品です。

思っていたより、他人事ではありませんでした。

モバイルバッテリー選びで「安全性」が重視され始めている

MOTTERUが全国20~69歳の男女を対象に行った自社調査では、モバイルバッテリーを選ぶ際に最も重視する項目として、

安全性:38.6%
容量:15.4%

という結果が出ています。

さらに、発火事故を知って考え方が変わった人は78.5%。

「何回スマホを充電できるか」「何Wで充電できるか」だけでなく、「そもそも、これは安心して持ち歩けるのか?」が商品選びの大きな基準になり始めています。

そこで最近よく見るようになったのが「準固体」「半固体」という言葉です。

準固体・半固体モバイルバッテリーとは?

従来型「液体」→半固体・準固体「ゲル状」一般的なリチウムイオン電池では、内部に液体の電解質が使われています。

半固体・準固体タイプでは、ゲル状など流動性を抑えた電解質を採用することで、安全性を高める考え方が使われています。

少しややこしいのが、「準固体」と「半固体」の呼び方に明確な統一基準がないことです。

メーカーによって呼び方や説明に違いがあるため、商品名だけで優劣を判断するのは難しい部分があります。

準固体・半固体なら絶対安全?

ここは勘違いしたくないところです。

「準固体=絶対に発火しない」ではありません。

モバイルバッテリーの安全性には、電池セル以外にも保護回路、温度管理、内部構造、製造品質などが関係します。

つまり「準固体」という文字だけではなく、製品全体でどんな安全対策をしているのかを見る必要があります。

DymondCellとActiveShieldは準固体とは何が違う?

私自身いちばん分かりにくかったところでした。

準固体・半固体、DymondCell、ActiveShield。

どれも安全性に関係する言葉ですが、同じ種類の技術ではありません。

技術何が違う?
準固体・半固体電解質をゲル状などにして、電池セル側から安全性を高める
DymondCellセル・BMS・温度・電圧監視、安全試験など、複数の仕組みを組み合わせる
ActiveShield温度を継続的に監視・制御し、温度管理側から安全性を高める

つまり、「準固体 vs DymondCell vs ActiveShieldで、どれが一番安全?」という単純な比較にはできません。

安全性を高めるためのアプローチが違います。

UGREEN「DymondCell」は状態まで見える

UGREEN Nexode WavyのBattery Health・Cycle Counts・Cell Temperature表示Nexode Wavyはバッテリー健康状態・充電サイクル数・セル温度を本体から確認できる

私が現在使っているUGREEN Nexode Wavyには、UGREEN独自の「DymondCell」が採用されています。

Nexode Wavyでは釘刺し、耐圧、耐熱、過充電、リチウム析出という5項目の安全試験を実施。さらにセル温度を毎秒100回測定し、電圧の変化も監視しています。

私が特に面白いと思ったのはバッテリーの状態を自分でも確認できることでした。

ディスプレイでは、

  • Cell Temp(セル温度)
  • Battery Health(バッテリー健康状態)
  • Cycle Counts(充電サイクル数)
  • セル電圧

などを確認できます。

モバイルバッテリーの内部は普通ならほとんど見えません。

「安全対策しています」と言われるだけではなく、状態の一部を自分の目でも確認できる。ここは実際に使っていて安心感につながっている部分です。

UGREEN Nexode Wavy
UGREEN Nexode Wavyレビュー|安全性を「見える化」したモバイルバッテリーを使ってみた最近、モバイルバッテリーの発火事故に関するニュースを目にする機会が増え、航空機内でのモバイルバッテリーの扱いも変更されました。 こ...

Anker「ActiveShield」は温度を監視する

AnkerのActiveShieldは、また少し考え方が違います。

ActiveShield 2.0では、製品内部の温度を継続的に計測・制御することで安全性を高めています。

準固体・半固体が主に電池セル側から安全性を高めるのに対して、ActiveShieldは温度監視・制御側から安全性を高める仕組みです。

そもそも役割が違うため、「どちらが上」というものではありません。

安全なモバイルバッテリーは何を見て選べばいい?

安全なモバイルバッテリー選び 5つのチェックポイントここまで調べてみると「準固体」という一つの言葉だけを見るより、次の5つを確認する方が分かりやすいと感じました。

① PSEマーク
国内で対象となるモバイルバッテリーを販売する場合に必要な表示。まず確認しておきたい最低限のポイントです。

② 電池・セル
一般的なリチウムイオン電池なのか、半固体・準固体なのか。ただし、これだけで安全性を判断しません。

③ 温度・電圧などの監視・保護機能
異常な温度上昇や電圧などを監視・制御する仕組みがあるか確認します。

④ 安全試験・品質管理
「安全です」という言葉だけではなく、メーカーがどんな試験や品質管理を行っているかも判断材料になります。

2026年にはMCPC(モバイルコンピューティング推進コンソーシアム)も「モバイルバッテリー安全性・品質ガイドライン」を策定し、製造工程や品質管理、トレーサビリティなどを含めた自主的な取り組みが始まっています。

⑤ 販売後のサポート
不具合が起きたときの問い合わせ先や、リコール・回収体制も重要です。

PSEマークだけで判断するのではなく、製品がどのように作られ、どんな安全対策が行われているのかまで見るというのが今回調べて感じたポイントです。

ここまで調べた私なら何を選ぶ?

私自身が今選ぶなら実際に使っているUGREEN Nexode Wavyです。

理由はDymondCellという名前そのものより、Cell Temp・Battery Health・Cycle Countsなど、バッテリーの状態を自分でも確認できること。

ただ、今回調べて分かったのは、何を安心材料として重視するかによって選択肢も変わるということです。

重視したいこと選択肢
状態を自分でも確認したいUGREEN Nexode Wavy
半固体セルを選びたいエレコム DE-C86-10000
温度監視・制御を重視したいAnker Power Bank(10000mAh, 30W)

「どれが一番安全か」ではなく、自分が何を安心材料として重視するかで選ぶと分かりやすくなります。

状態を自分でも確認したい|UGREEN Nexode Wavy

Cell Temp・Battery Health・Cycle Countsなどをディスプレイで確認できます。

今回の3製品の中では唯一、私自身が実際に使っている製品です。

安全性について調べれば調べるほど、「安全です」と書かれていることだけでなく、今の状態を自分でも確認できることに安心感を感じました。

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UGREEN Nexode Wavyレビュー|安全性を「見える化」したモバイルバッテリーを使ってみた最近、モバイルバッテリーの発火事故に関するニュースを目にする機会が増え、航空機内でのモバイルバッテリーの扱いも変更されました。 こ...

半固体セルを選びたい|エレコム DE-C86-10000

半固体リチウムイオン電池を採用した10000mAhのモバイルバッテリーです。

半固体セルだけでなく、温度を監視する「Thermal Protection」や、充放電回数をもとに電池の状態を知らせる「Health Monitor」も搭載しています。

「半固体だから」で終わらず、複数の安全対策を確認できる点が印象に残った製品です。

温度監視を重視したい|Anker Power Bank(10000mAh, 30W)

ActiveShield 2.0を搭載し、製品内部の温度を継続的に計測・制御します。

容量10000mAh・最大30Wと普段使いしやすいスペックで、ActiveShieldによる温度管理を重視して選びたい人には分かりやすい候補です。

まとめ|「何電池か」だけで安全性を判断しない

モバイルバッテリーから出火した火災は、2025年だけで482件。

安全性への関心が高まるなか、準固体・半固体、DymondCell、ActiveShieldなど、メーカーによってさまざまなアプローチが登場しています。

ただし、どれか一つだけを見て「安全」と判断するのは難しいところです。

見るなら、

電池セル+監視・保護機能+安全試験+製造品質+サポート。

具体的な製品で見ると、

状態を自分で確認するならNexode Wavy。
半固体セルを選ぶならエレコム DE-C86-10000。
温度監視を重視するならActiveShield搭載Anker。

という選び方ができます。

私自身、これまでは「10000mAh」「最大○W」といった数字を中心にモバイルバッテリーを見ていましたが、今回調べて少し選び方が変わりました。

毎日のように持ち歩くものだからこそ、次に選ぶときは「何回充電できる?」だけではなく、

「このモバイルバッテリーは、どうやって安全性を高めている?」

そこまで確認して選びたいと思います。