家庭用ホームプロジェクター市場においてナンバーワンのXGIMI(エクスジミー)から、ハイエンドモデル3台をお借りして比較するのが今回のテーマです。
当時、フラグシップモデルだった「HORIZON Pro」を使って大絶賛した記憶は今だ鮮明で、その時の懐かしい記事が、こちらです。
あれから4年…
今回はそのHORIZON Proと、最高峰モデルであるHORIZON Sシリーズの「HORIZON S MAX」と「HORIZON S Pro」を加えて比較していきます。
私の中で止まっていたXGIMIの歴史が今動き出す。そう考えると、とても感慨深くて楽しみです。
ハイエンドモデル「HORIZON」シリーズの3製品
XGIMIにも様々なモデルがありまして、モバイル型からホームシアター向けのハイエンド4Kモデルまで幅広く展開されてます。
今回は後者の紹介になり、映像美とサウンドクオリティで圧倒するホームプロジェクターに的を絞ってます。
カジュアルに言うとガチなプロジェクターで、価格は高いけれども美しい映像と臨場感あるサウンドが両立できます。
■2021年9月発売
-HORIZON Pro:139,800円
■2024年7月発売
-HORIZON S Pro:179,800円
-HORIZON S MAX:269,800円
2021年に発売された「HORIZON Pro」を基準にして、ブランド最高峰の「HORIZON S MAX」と「HORIZON S Pro」がどのように向上しているのか??
外観 / HORIZON S ProとHORIZON S MAXは同じ?
HORIZON Proは一目瞭然として、HORIZON Sシリーズ2製品、見た目から違いが分かりません。じっくり見ても同じ外観で、底部にある記載と電源アダプターのサイズで判断できるくらいです。
底部に製品名の記載
HORIZON S Pro / HORIZON S Max
電源アダプターはふた回りくらい差がありますが、外観は同じなので一方を見るだけで良さそうです。
入力端子はDC×1、HDMI(eARC対応)x1、USB×2と、このサイズのホームプロジェクターにしてはとてもシンプル。
対してHORIZON Proの入力端子はDCx1、HDMIx1、 HDMI(eARC対応)x1、USBx2、LANx1、出力端子はヘッドフォンx1(3.5mm)、オプティカルx1。
リモコンは3製品全て同じです。
最高輝度を誇るHORIZON S MAX
ブランド最強のスペックを備えるHORIZON S MAXは、XGIMI製品の中でも群を抜いたISO 3100ルーメンの高輝度が最大の魅力です。
「日中でも4Kの高精細映像を楽しみたい」という願いは、このプロジェクターで叶わないならどうしようもありません。
ウール生地で柔らかな素材のスライドカバーには高級感を感じ、電源を入れるとレンズが現れます。
スタンド一体型が非常に便利で、360°の左右回転と上下135°の角度調整が可能です。微妙な調整に苦労した経験があるだけに、この機能だけで感動しました。
角度を変えても自動で台形補正やフォーカスを行う技術はISA5.0に。
自動台形補正、オートフォーカス、スクリーンへの自動アジャスト、障害物自動回避に加えて、今作では壁色適応機能と、レンズに近づく人を検知して一時的にスクリーンを暗くする目の保護機能も備えます。
補正中も映像が途切れない自動台形補正に進化して、置いた瞬間に快適な映像を楽しめます。
- 自動台形補正:動画を中断せずに自動で台形補正
- オートフォーカス:中断せずに自動で焦点を調整
- 自動アジャスト機能:スクリーンサイズに合わせる
- 障害物自動回避:障害物を自動で避けて投影
- 壁色適応:壁の色に応じて投影映像の色を自動的に調整
- 目の保護機能:投影範囲に人を検知すると光源を落とす
- ビックスクリーンモード:通常の画面比率よりも広い視野
HORIZON S Proのコスパが秀逸
最強のHORIZON S MAXと同時に発売されたHORIZON S Pro。お値段ガクッと下がりますが、実は基本性能もほとんど変わらない神製品。
逆に異なる部分を探した方が早く、下記の違いくらいです。
HORIZON S MAX | HORIZON S Pro | |
輝度 | 3100 ISOルーメン | 1800 ISOルーメン |
ストレージ | 64GB | 32GB |
重さ | 4.81kg | 4.75kg |
IMAX Enhanced | 対応 | 非対応 |
消費電力 | 300W | 180W |
価格 | 269,800円 | 179,800円 |
※価格は記事執筆時点の実勢価格(市場での販売価格)です。
明るさに相当な差はありますが、HORIZON S MAXが凄すぎて…。悲観するレベルにありません。
明らかな違いはIMAX Enhanced(アイマックス・エンハンスト)の有無になり、上下の映像範囲が広いアスペクト比1.90:1に対応するのがHORIZON S MAXです。
これは家でもIMAXシアターのような大画面・迫力音響を体験できる規格であり、コンテンツ側(映画や配信作品)もIMAX Enhancedに対応することで初めて成立します。
全ての人に恩恵のある規格ではないにしろ、Disney+などでIMAX Enhanced対応コンテンツが増えており、将来的な対応作品拡大を考えると搭載されているのは魅力です。
HORIZON Proの魅力はどこにある?
機能面や使い勝手で最新モデルには劣るものの、1500 ISOルーメンの明るさを持ち、最大200インチの大画面で4K映像を楽しめる十分な性能を備えます。
最新のHORIZON Sシリーズにはない重厚感とデザイン性も魅力の1つ。
HORIZON Sシリーズは画質・HDR表現・色再現・コントラスト全てが向上しており、映像の美しさに本気の方だとProでは物足りないかもしれません。
ただし価格重視・暗室利用前提では依然としてProは選択肢になり得ます。
スペックの比較

HORIZON S MAX | HORIZON S Pro | HORIZON Pro | |
価格 | 269,800円 | 179,800円 | 139,800円 |
サイズ | 234x273x174mm | 234x273x174mm | 136x208x218 mm |
重さ | 約4.81kg | 約4.75kg | 約2.9kg |
明るさ | 3100 ISOルーメン | 1800 ISOルーメン | 1500 ISOルーメン |
光源 | Dual Light 2.0 | Dual Light 2.0 | LED |
解像度 | 3840×2160 | 3840×2160 | 3840×2160 |
投影サイズ | 40~200インチ | 40~200インチ | 40~200インチ |
スピーカー | 2×12W Harman Kardon | 2×12W Harman Kardon | 2×8W Harman Kardon |
ストレージ | 64GB | 32GB | 32GB |
システム | Android TV™ 11.0 | Android TV™ 11.0 | Android TV™ 10.0 |
投影方法 | 置き設置・正面投影 天吊り・正面投影 置き設置・背面投影 天吊り・背景投影 | 置き設置・正面投影 天吊り・正面投影 置き設置・背面投影 天吊り・背景投影 | フロント,リア,フロントシーリング,リアシーリング |
全てのモデルにAndroid TV搭載
Fire TV StickやApple TVなどを別で用意しなくても、プロジェクター単体でYouTube、Amazon Primeなどのアプリが利用可能。プロジェクター単体でストリーミングを完結できるのが最大のメリットで、設置のシンプルさや使い勝手を重視する人に向いてます。
※なおAndroid TVの場合はストリーミングデバイスなしの状態ではNetflixは利用できません。HORIZON Sシリーズ製品を購入するとXGIMI Streaming Dongle(ストリーミングデバイス)が無料で貰え、Netflixの利用も可能になります。
HORIZON SシリーズはDolby Vision認定
HDRの中でも最上位規格「Dolby Vision」に公式対応した4Kプロジェクターで、家庭用シアターでの没入感を一気に高める要素です。
Dual Light 2.0採用
レーザー光源の高輝度とLED光源の自然な色味を組み合わせた最新のハイブリッド光源システム。従来のレーザー式にありがちな刺さるような光を抑えつつ、映画館に近い迫力と鮮やかさを家庭で楽しめます。
使い勝手・音の違い・映像の比較
実際に使ってみて思ったよりも差を感じるポイントがいくつかありました。
使い勝手:スタンド一体型が便利すぎた
総合的に見て3製品ともプロジェクターとしての操作性は文句なしで大差はありません。自動台形補正やオートフォーカス機能、Android TV搭載でストレスとは無縁です。
ただ、HORIZON S MAXとHORIZON S Proに搭載されるスタンドが便利すぎて、直置きで使ったHORIZON Proは一層不便に思えてしまいました。
別にスタンドが販売されているとは言え、物理的な使い勝手に大きな差があります。
スピーカーの違い
「2×12W Harman Kardon」と「2×8W Harman Kardon」の差になりますが、音の厚みと広がりが想像以上に違いました。
HORIZON Proが悪いわけではないのですが、ライブを観て、映画を観て、サウンドが与える影響を改めて知りました。
2×12W Harman Kardonは臨場感と迫力、包み込むようなサウンドで圧倒します。
ちなみに4年前に書いたHORIZON Proのレビューを見返してみると、「スピーカーの音の良さ。リアルで大迫力のため映画でも見ようもんなら聞き惚れてしまうほど。」と私は表現しておりまして、数年での技術の進歩を感じます。
映像の比較
差はあるにしろ全てXGIMIのハイエンドモデル。最も古いHORIZON Proでさえ1500 ISOルーメンで、お世辞抜きに本当に綺麗な映像です。
大事なところを抜粋して。
HORIZON S MAX | HORIZON S Pro | HORIZON Pro | |
価格 | 269,800円 | 179,800円 | 139,800円 |
明るさ | 3100 ISOルーメン | 1800 ISOルーメン | 1500 ISOルーメン |
光源 | Dual Light 2.0 | Dual Light 2.0 | LED |
スピーカー | 2×12W Harman Kardon | 2×12W Harman Kardon | 2×8W Harman Kardon |
映像に関してはISOルーメンとDual Light 2.0の強みが顕著に表れてました。
HORIZON Pro
遮光した昼間の映像
晴天にカーテン全開だと流石に輝度が足りないものの、光を遮れば日中でもはっきりした映像で楽しむことができるレベルです。
夜間の映像
やはり夜間のプロジェクターはとても綺麗。そこまでの差は生まれないのでは?と感じていたのはHORIZON Sシリーズと比較する前のことでした。
HORIZON S Pro
遮光した昼間の映像 / Dual Light 2.0
え、明るさと鮮明さが凄い…。HORIZON Proが一昔前の映像に感じてしまうほどの差を感じてしまいました。
夜間の映像 / Dual Light 2.0
まさかここまでリアルを体験できるとは思ってもいなかったです。1500 ISOルーメンと1800 ISOルーメンの違いだけでなく、Dual Light 2.0の効果も非常に高いです。
HORIZON S MAX
遮光した昼間の映像 / Dual Light 2.0
HORIZONシリーズで最も、そして断トツで明るい3100 ISOルーメン。画像では伝わりにくいですが、HORIZON S Proを更に明るくした感じで、常設テレビ代わりになるレベル。
夜間の映像 / Dual Light 2.0
驚きました。圧倒的に鮮明でリアル。
3100 ISOルーメンの映像は圧巻です。昼間のリビングでもスクリーンに映像がくっきり浮かび上がり、暗くして見るとまるで映画館。HORIZON S Maxの映像を初めて見たとき、これが家庭用プロジェクターの到達点かと驚かされました。
近距離で見ても。
従来モデルでは少し白っぽく感じた映像が、S Maxでは濃厚で鮮やか。これを見た瞬間、もうテレビはいらないかもと思いました。
木漏れ日や光の映像は眩しさを感じます。
YouTubeの映像とBGMでも心が揺さぶられるくらいで、これで映画やアニメを見るとサウンドの臨場感もプラスされて没入感が凄いです。
画質の精細さはむしろ映画館を超えるくらいで、最前列体験が味わえる。見慣れた動画もHORIZON S MAXを通すことで、別物に感じるインパクトになります。
まとめ
HORIZON S MAXが抜けた存在です。レベルの高い比較で全て綺麗な映像に間違いなく、悪い製品なんてありません。
ただ順位を付けるなら価格どおりに落ち着くことになり、そうでなくては困ります。
HORIZON Pro → 綺麗!
HORIZON S Pro → すご!
HORIZON S MAX → やばっ!
ファーストインプレッションはこんな感じで、映像と音質を最大限に楽しみたい方はHORIZON S MAX。性能と価格のバランス重視の方はHORIZON S Pro。設置の手軽さと価格を重視するならHORIZON Proになります。


